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「大人は、かく戦えり」観劇

Photo 平成23年1月6日(木)の午後に新国立劇場小劇場で初日を迎えた「大人は、かく戦えり」を観た。
作者はユダヤ系フランス人の「ヤスミナ・レザ」という女性の演劇家で、この作品の初演は2006年12月にスイスで行われたとのこと。
日本では初めて公演される作品とのこと。
従って、「ヤスミナ・レザ」の名を初めて聞いたが、欧米各国の演劇賞を取っている有名な演劇人であることを知った。
劇場に入ると細い線で描いた平面的な古びた一軒家の絵が幕に描かれていた。今日の演劇は家庭に関わるストーリーかなと感じた。
定刻に小太鼓、鉦鼓などのチンドン屋が演奏するような音楽が流れて幕が開いた(後で解ったのだが、この音楽がコミック劇の前触れだった)。
舞台上には息子が棒で殴られ歯を折り、顔が膨れ上がっていると主張する両親(大竹しのぶ、段田安則)と被害者の同級生で暴行を加えた息子(11歳)の両親(秋山菜津子、高橋克実)が座って、今回の事件の決着をつける話し合いを行っていた。
「子供の喧嘩に親がせせり出た」わりには両方の両親ともに穏やかな話し合いだった。
自分の経験では電車から下りる時に父親に抱えられていた子供の足を触れたと言って父親が形相を変えてつっかかって来たことを思い出したからだ。すなわち、「子供のためなら親は牙を剥く」ものだと肝に命じ、子供を連れている時には子供に触れないように気を配ってきたからだ。
しかし、しばらく経つと本音を隠し平静を装っていた会話が、加害者の息子が棒を「武装」していたという文言から加害者の父親が抗議し、被害者の両親が撤回する場面になり雲行きが怪しくなってきた。
その後は「言葉じり」をとらえた戦いが両家だけでなく、両家の夫婦にまで飛び火し、本題を外れた激論が展開される。時には男同士、女同士が意見の一致をみて、男女間のバトルも展開される。
とにかく、お互いをけなし合う言葉の連続で自分たち自身が体力を消耗したり投げやりになったりする。
観客としては「他人の不幸は蜜の味」そのものでおかしくて笑ってしまった(さすがコミック)。
面白かったのは、本来なら夫婦が一致団結して闘うべきところが、夫婦とはいえ価値観や考え方の違いがあり、普段のお互いに対する不満を仮面で覆っていても何らかのトリガーにより爆発するということと人間は怒ると本音を喋ってしまうということが含まれていたことだ。自分の経験からも納得出来る。
子供中心で理屈を振りまわす「いやな女」を演じた「大竹しのぶ」、女房の言うことに追従し、自分の意見を言わない「へこへこ亭主」を演じた「段田安則」、本音を心の深くにしまいこみ仮面を被っている「おすまし婦人」を演じた「秋山菜津子」、人間よりも企業防衛に執着する「金欲亭主」を演じた「高橋克実」のそれぞれが役柄を上手く出していた。さすが芸達者たちの演技だった。
初回の公演だったためか笑いをとったあとの静寂の場面で間が不自然と感じた場面が2回ほどあったが、全体としては迫力のある演技で大笑いした。
閉塞感のただよう現在の世の中で、ういれしい新年のお年玉だった。

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