« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »

2012年11月

「日の浦姫物語」観劇

2 平成24年11月18日(日)13:30~16:30頃にシアターコクーンで井上ひさし作、蜷川幸雄演出、大竹しのぶ、藤原竜也、木場勝己、立石凉子、たかお 鷹、辻 萬長、ほか出演の「日の浦姫物語」を観た。
出演者は蜷川演出の作品には何回も出ている芸達者揃いなので、楽しく観ることが出来た。
説教聖(木場勝己)とその妹(立石凉子)が近親相姦で生まれた子を抱え、懺悔の気持ちから「日の浦姫」の物語を語ることで劇が進行する。
その「日の浦姫」の物語は平安時代(藤原道長の死後とのことなので1030年頃)の米田庄(今の福島県いわき付近)での兄の稲若(藤原竜也)と妹の日の浦姫(大竹しのぶ)の近親相姦により男の子(魚名)が生まれる出来事が発端。
稲若は追放されるが旅の途中で死亡し、日の浦姫は叔父の宗親(たかお 鷹)の監視下におかれる。
魚名は船で川に流されるが、小島に漂流し寺で育てられ18歳の若者に成長。
その頃、「日の浦姫」は近隣の豪族から結婚と土地の譲渡しを迫われている。
この危機を魚名(藤原竜也)が助け、お互いに親子であることを知らずに結婚する。
その後、お互いが親子であることを知って悲劇が始まる(ネタばらしになるので以下の物語は省略)。
すなわち「兄と妹」と「母と子」の二つの近親相姦が軸の重い物語だが、そこは言葉の天才井上ひさしだけあって、ウイットのあるセリフで厭らしさを感じさせず、笑いをもたらした。
近親相姦という重荷に苦しみ懺悔する芝居を観客に見せ、観客の日常のささいな罪に関して安堵をしてもらうというのが狙いらしい。
ドストエフスキーの「罪と罰」ならぬ井上ひさしの「罪と懺悔」の物語だと思った。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

映画:NYメトロポリタンオペラ「オテロ」

METでは来年のGiuseppe Verdiの生誕200年に向けて「Otello(オテロ)」、「Un Ballo in Maschera(仮面舞踏会)」、「Aida(アイーダ)」、「Rigoletto(リゴレット)」の4タイトルを上演する。
平成24年11月17日(土)11:00~14:30頃(休憩1回15分含む)、東劇でMET LIVE VIEWINGによって「Otello」を観た。
「Otello」に関しては平成19年10月に蜷川幸雄演出、吉田鋼太郎主演の戯曲「オセロー」、昨年7月にF.Zeffirelli監督、P.Domingo主演の映画(http://macsan.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-0abc.html参照)を観ているが、オペラとして観るのは初めてだった。
まず、序曲がなく開幕と同時に嵐のシーンの音楽が演奏され、沿岸の民衆が船の無事接岸を祈っている場面に引き込まれてしまった。
その後の物語の展開においても、場面に応じた緊迫感のある音楽や哀愁のある音楽の絶妙な組み合わせが素晴らしかった。
前作の「Aida」から15年かかって完成させたもので、Verdiの最高傑作と言われ人気があるのが頷ける。
歌手も歌のみならず演技も素晴らしかった。
J.Botba(Otello)は重い風邪で3日間のブランクの後の出演だそうだが、張りのあるテノールで、第一幕の終わりにR.Fleming(Desdemona)との甘い二重唱「あなたはわたしの不幸のためにわたしを愛してくれた」や死の直前のアリア「わたしを恐れることはない」が素晴らしかった。
R.FlemingはDesdemona役が得意役で綺麗なソプラノと死にゆく場面での熱演が印象に残った
歌唱では第四幕の死の直前に侍女に語る自分に重ね合わせた少女の物語「柳の歌」と純潔を訴える「アヴエ・マリア」が心に響いた。
F.Struckmann(Iago)は悪役の表情と歌唱が強く記憶に残った。
第二幕の邪悪な性格であることを告白する「おれは残忍な神を信じる」は力のあるバリトンであった。
初めて知った歌手であるが気に入った。
今後、チェックして行こうと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

江東オペラハイライトシリーズVol.10

Photo 平成24年11月10日(土)17:00~20:00頃、瑞江駅の東部フレンドホールで行われた江東オペラハイライトシリーズVol.10で歌劇「マノン」と歌劇「リゴレット」を観た。
歌劇「マノン」はジュール・マスネ作曲の作品で、今年の5月7日にMETライブビューイングでアンナ・ネトレプコの「マノン」(http://macsan.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/ny-f0b1.html参照)を見ているので2回目であった。
オペラには劇場で見るオーケストラ、舞台装置、衣装でのいわゆる「本番」、それを映像に撮って映画館などで上映する「ライブビューイング」、オーケストラのみの「演奏会形式」があることは知っていたが「ハイライトシリーズ」は初めてなので、どんな演出かと興味を持って参加した。
今回の「ハイライトシリーズ」は物語の主要な部分を中心に構成され、伴奏はピアノのみ、衣装は本番用というものであった。
歌詞は原語でスクリーンに翻訳が出た。
会話の部分は日本語であったのでちょっと違和感はあったが理解しやすいので良かった(歌手のみなさんは日本語で演じることはないのでセリフに苦労したのではないか)
歌手のみなさんは熱唱した。
特に「マノン」のソプラノの山口佳子さんの高音、「リゴレット」のバリトンの山口邦明さんの張りのある声、その娘「ジルダ」のソプラノの中江早希さんの澄んだ声が印象に残った。
歌唱では「マノン」の第二幕の「さよなら わたしの小さなテーブル」と第五幕の二重唱「泣いているの?」、「ええ、わたしの恥ずべき行いゆえに」、「リゴレット」の第三幕の有名な「女は気まぐれ」、二重唱「父さまを騙したの!」が良かった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

映画:NYメトロポリタンオペラ「愛の妙薬」

Photo 平成24年11月5日(月)19:00~21:50頃、東劇でMET LIVE VIEWING「愛の妙薬(L'Elisir d'Amore)」(作曲G.Donizetti)を観た(写真はMET HPのフオトギャラリーから)。
この作品は悲劇「アンナ・ボレーナ」の後に書かれた喜劇である。
今回は指揮 マウリツイオ・ベニーニ(M.Benini)、演出 バートレット・シャー(B.Sber)、農場主で気位の高い美しい娘アデイーナ(Adina)役にアンナ・ネトレプコ(A.Netrebko)、アデイーナを恋する農夫ネモリーノ(Nemorino)役にマシュー・ボレンザーニ(M.Polenzani)、アデイーナに一目ぼれした軍曹ベルコーレ(Belcore)役にマリウシュ・クヴイエチェン(M.Kwiecien)、インチキ愛の妙薬売りドウルカマーラ先生(Doctor Dulcamara)役に巨漢のアンブロージョ・マエストリ(A.Maestri)などで行われた。
今回の演出は喜劇作品
ではあるが時々笑ってしまうことがある程度に抑えた喜劇であった。
普通の生活の中で起こる誤解や勘違いによるドタバタを恋に仕立てて演じたように感じた。
アンナ・ネトレプコのソプラノ(sop)、マシュー・ボレンザーニのテノール(ten)、マリウシュ・クヴイエチェンのバリトン(bar)、アンブロージョ・マエストリのバス(bs)と声域の違う各人の歌唱や重唱が素晴らしかった。
特に第2幕のアンブロージョ・マエストリとアンナ・ネトレプコの二重唱「私は金持ち、あんたは美人」のコミカルな歌やマシュー・ボレンザーニのアリア「人知れぬ涙」には感激した。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ソフイア国立歌劇「トスカ」観劇

平成24年11月3日(土)15:00~17:30(休憩25分含む)、川口リリアでソフイア国立歌劇場(Sofia National Opera)のプッチーニ(Puccini)作曲「トスカ(TOSCA)」を観た。
ソフイア国立歌劇場管弦楽団と合唱団(Sofia National Opera Orchestra and Chorus)、指揮(Conductor) アレッサンドロ・サンジョルジ(Alessandro Sangiorgi)、演出(Director) プラーメン・カルターロフ(Plamen Kartaloff)、トスカ(TOSCA)役は佐藤しのぶ(Shinobu Sato)、マリオ・カヴアラドッジ(Mario Cavaradossi)役はマルテイン・イリエフ(Martin Iliev)、スカルピア男爵(Baron Scarpia)役はビゼル・ゲオルギエフ(B
iser Georgiev)などであった。
佐藤しのぶ(Shinobu Sato)のオペラを観るのは初めてだった。
10月24日の日経夕刊の文化欄でのインタビュー記事で佐藤しのぶは「オペラの歌唱法は日本人向きではないので、常に自己ベストを尽くさないといけない。命を削る覚悟で努力している」と言っていたが、澄んだ声質の歌唱と演技力で好演した。
確かに声の太さという点では外国人女性のソプラノには敵わないが、身体全体でそれをカバーする表現が出来ていたように思う。
杉並児童合唱団や黙役の男性を除けば、メインキャストの中で唯一の日本人で、しかもタイトルロールの主役だったので、カーテンコールでの拍手が凄かった。
カヴアラドッジ(Cavaradossi)役のマルテイン・イリエフ(Martin Iliev)のテノール、スカルピア男爵(Baron Scarpia)役のビゼル・ゲオルギエフ(Biser Georgiev)のバスも良かった。
トスカ」は昨年、メトロポリタンオペラ(MET OPERA)のライブビューイング(http://macsan.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/ny-a28b.html参照)を2回観ているが、第2幕でのトスカが歌うアリア「歌に生き、愛に生き」と合唱団による教会の場面での「テ・デウム(Te Deum)」(カトリック教の聖歌)、第3幕でカヴアラドッジ(Cavaradossi)が歌うアリア「星は光りぬ」は何回聴いても良い歌だ。
舞台装置は中央に大きな十字架を設置し、縦の柱の中心を軸に前後に回転させて第一幕の教会の場、第二幕のスカルピアの部屋、第三幕のトスカが屋上から投身する場を作っていた。
最終場面で赤いスカーフが上からひらひらと落ちてくることでトスカが投身したことを現わしていた。
舞台装置はMETに比べシンプルであるが場面のイメージを作っていた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ウイーン国立歌劇「アンナ・ボレーナ」

平成24年10月31日(水)18:30~22:00(休憩25分含む)に東京文化会館でウイーン国立歌劇(WIENER STAATSOPER)のドニゼッテイ(Donizetti)作曲「アンア・ボレーナ(ANNA BOLENA )」を観た。
このタイトルのオペラは昨年11月7日にメトロポリタンオペラ(MET opera)のアンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)主役のLIVE VIEWING(http://macsan.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/ny-571b.html参照)を観ているので2回目だ。
ただし、ライブビューイングより迫力のある劇場公演を楽しみにしていた。
演奏 ウイーン国立歌劇場管弦楽団(Orchester der Wiener Staatsoper)、指揮 エヴエリーノ・ピド(E.Pido)、演出 エリック・ジェノヴエーゼ(E.Genovese)などのスタッフだった。
キャストはエンリーコ8世にルカ・ピサローニ(L.Pisaroni)、アンナ・ボレーナにエデイタ・グルベローヴア(E.Gruberova)ジョヴアンナ・シーモアにソニア・ガナッシ(S.Ganassi)、リッカルド・パーシー卿にシャルヴア・ムケリア(S.Mukeria)、ロシュフオール卿にダン・ポール・ドウミトレスク(D.P.Dumitrescu)、スメトンにエリザベス・クールマン(E.Kulman)などであった。
主役のグルベローヴア(E.Gruberova)の澄んだ美声と高音域のソプラノ、声を転がしながら歌う技術(アジリタと言うらしい)が凄かった。
特にフイナ-レの「狂乱の場」での長いアリアには聴き入ってしまった。
ベルカント・ソプラノの現在の第一人者と言われることが頷けた。
カーテンコールでの拍手が一段と大きかった。
シャルヴア・ムケリアの甘いテノール、エリザベス・クールマンの青年役でのメゾ・ソプラノも印象に残った。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »