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2013年1月

映画:NYメトロポリタンオペラ「トロイアの人々」

平成25年1月26日(土)17:00~22:20、東劇で休憩を除き約5時間のMETオペラ ベルリオーズ(H.Berlioz)の台本(原作はエウリピデスまたはウエルギリウス)・作曲である「トロイアの人々(Les Troyens)」を観た。
合唱だけでも110名という多数の人、大掛かりな舞台装置、長時間の舞台とMETだから可能なオペラだと思った。METでも10年ぶりの再演とのこと。
物語は1部はトロイの木馬で有名な「トロイアの陥落」、2部はトロイアを脱出してイタリアへ向かうトロイア軍の長「アエネアス(Aeneas)」と避難地として滞留を認めたカルタゴの女王「カサンドラ(Cassandra)」の相思相愛とその別れの「カルタゴのトロイア人」
1部では「カサンドラ」をはじめトロイアの女性がギリシャ軍の凌辱を逃れるために自害、2部では「カサンドラ」が愛する「アエネアス」の裏切りに対する憎しみと絶望により自害するという戦争における女性の悲劇物語。
「カサンドラ」役のデヴラ・ボオイト(D.Voigt)の表情の表現力、ソプラノの低音での歌唱、カルタゴ王女「デイドー(Dido)」役のスーザン・グラハム(S.Graham)の熱唱、メゾソプラノでありながらソプラノとの中間の声での歌唱、10日前にマルチェツロ・ジョルダーニ(M.Giordani)の代役出演となった「アエネアス」役のブライアン・イーメル(B.Hymel)の力強いテノールと熱演が素晴らしかった。
感激した歌唱はいくつもあったが、第一幕の「カサンドラ」がトロイアの滅亡を予言するが誰も聞き入れてくれず、狂人扱いにされたことを嘆き歌った「不幸な王よ!」、「カサンドラ」と婚約者「コロエブス(Coroebus)」(ドウウエイン・クロフト:D.Croft)の二重唱、第四幕の「アエネアス」と「デイード」の二重唱「恍惚なる夜?」、第五幕の「デイード」のモノローグ「死に向かう」が印象に残った。
ところで、日本に帰化したドナルド・キーン氏が見に来ていた。
お、以前にエウリピデス作、蜷川幸雄演出の「トロイアの女たち」も観た
「カサンドラ」はギリシャ将軍の愛人という設定になっていたが、こちらも戦争による女性の悲劇を描いていた。

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新交響楽団第220回演奏会

平成25年1月27日(日)14:00からすみだトリフオニーホールで新交響楽団第220回演奏会を聴いた。
指揮は高関 健でベルクの「3つの管弦楽曲」、ブルックナーの「交響曲第5番(ハース原典版)」が演奏された。
ベルクの音楽は以前にバレンボイム指揮、オペラ「ルル」のビデオを観たことがあった。
のっぺりした不思議な音楽だという印象だったが、「ルル」の物語りの内容にはマッチしていた。
今回の「3つの管弦楽曲」のプログラムノートを読むと、ベルクは無調、12音技法を駆使した作曲家とのことで、ベートーベン、カラヤン、ウイーンフイルの音が交響楽と思い込んでいたので、上記のような印象を受けたのだろう。
第1曲「前奏曲」、第2曲「ワルツ」、第3曲「行進曲」を聴いたが、シュトラウスのワルツ、エルガーの「威風堂々」やヴエルデイの「アイーダ」の行進曲に耳馴れている?(それほどでもないが、何回か聞いている)せいか、やはり違和感を感じた。
古い感性のためかも知れないし、新しい革新に追いついていないのかも知れないと思った。
ブルックナーの「交響曲第5番」はとにかく長いという感覚だった。
前々夜、拘束時間約6時間のオペラ「トロイアの人々」を観たために時間の長さに疲れを感じたためなのかも知れない。

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映画:メトロポリタンオペラ「アイーダ」

平成25年1月19日(土)14:00~17:45頃に東劇でヴエルデイ作曲「アイーダ(Aida)」を観た。
過去に2回、METの「アイーダ」を観ている。
2回とも同じ「アイーダ」であった(http://macsan.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/ny-84a9.htmlおよびhttp://macsan.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/ny-cf99.html参照)。
今回はMETでの「アイーダ」の1,129回目の公演だったそうで人気の高いオペラであることが解る。
核となる物語はエジプトに負けたエチオピアの王女アイーダ(Aida)とエジプトの将軍ラダメス(Radames)とエジプトの王女アムネリス(Amneris)の三角関係でアイーダとラダメスの悲劇である。
その物語を壮大な舞台装置と大勢の出演者、馬3頭、ロバ2頭などで構成する歴史スペクトラムである。
特に第2幕の日本でのサッカーの試合での選手入場時に流れる「凱旋の場」の音楽に乗って、勝ったエジプト戦士、負けたエチオピアの奴隷、祝勝祝いのダンサー、合唱隊などが繰り出す様は圧巻だった。
今回はMET主席指揮者となったフアビオ・ルイージ(F.Luisi)指揮、演出ソニア・フリゼル(S.Frisell)、アイーダ役リュドミラ・モナステイルスカ(L.Monastyrska)、ラダメス役ロベルト・アラーニャ(R.Alagna)、アムネリス役オルガ・ボロデイナ(O.Borodina)であった。
アイーダ役のリュドミラ・モナステイルスカはMET初出演だが、声量がありピアニシモでもHigh-Cで歌える歌手であった。
ロベルト・アラーニャはベテランという感じで演技、歌唱とも素晴らしかった。
オルガ・ボロデイナはこの役を数多くやっているそうで、貫録のある演技と歌唱であった。
印象に残る歌唱は前の2回と同じで第一幕の「清きアイーダ」、「買って還れ」、第二幕一場の二重唱、二場の凱旋の場、第四幕の地下牢での歌などであった。

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映画:NYメトロポリタンオペラ「仮面舞踏会」

平成25年1月14日(月・祝日)14:00~17:30頃に東劇でヴエルデイ作曲「仮面舞踏会」を観た。生憎、大雪であったがチケットを購入してしまっていたので出かけて行った。
「仮面舞踏会」にはオリジナルの「スエーデン版」と「ボストン版」があるようだが、今回は「スエーデン版」で行われた。
18世紀のスエーデンのグスタヴ3世(国王)の暗殺事件という史実に王が忠臣(伯爵)の妻を恋してしまうという三角関係の架空の物語を加えたものであった。
ただし、時代設定を20世紀に変更したもので、服装は現代的なものだった。
3幕ものでハイライトは第1幕は女占い師による国王暗殺(結果的には伯爵による殺害)の予告のシーン。
第2幕は国王と伯爵夫人との密会で、伯爵夫人の国王の求愛に対する躊躇いと受容の間での心理的動揺のシーン。
第3幕は伯爵の国王の裏切りに対する恨みと妻への愛の未練、国王の伯爵夫人に対する惜別の心とあきらめきれない心との間の葛藤のシーン。
舞台装置では天井に「イカロス」の絵があり、その絵が下に落ちるシーンがあった。
帰って「イカロス」とは何かと調べたら「ギリシャ神話で、父の発明した翼で空中に飛んだが高く飛びすぎて、太陽の熱で翼の蝋が溶けて海に落ちて死んだ」というキューピットの様な偶像だそうだ。
この劇での国王の状況を視覚的に示したものであることが解ったが、西欧人にはすぐ解るなだろうが、自分には調べるまで解らなかった。
キャストはグスタヴ国王にM.Alvarez、伯爵夫人アメーリアにS.Radvanovsky、伯爵アンカーレストレム(レナート)にD.Hvorostovsky、女占い師アルヴイドソン夫人(ウルリカ)にS.Blytbe、国王の小姓オスカルにK.Kimなどであった。
曲は美しく、時にはコミカルでありシリアスであるというように変化に富み、劇的であった。
心に感じた歌唱は第2幕の伯爵夫人アメーリアのS.Radvanovskyが歌った「この草を摘みとりて」とそれに続くグスタヴ国王M.Alvarezとの二重唱「ああ、何と心地よいときめきが」であった。
また、国王と伯爵夫人の密会の場に暗殺者群が現れた時に、この場に来た伯爵が国王を逃がし、伯爵と夫人がさびしい草原に居るのを揶揄した暗殺群の「ワッハッハ、ワッハッハ」と歌う「見たか、こんな夜中にこんなところで奥方と」はコミカルで印象に残った。
第3幕の伯爵アンカーレストレム(レナート)のD.Hvorostovskyが妻に向かって「死をもって報いよ」や国王への恨みを歌う「おまえだったのか、あの魂を汚したの者は」は迫力があった。
S.Radvanovskyの迫力あるソプラノ、M.Alvarezの美しいベルカント、力強いD.Hvorostovskyのバリトン、小姓オスカルK.Kimのコロラトウーラソプラノなど素晴らしかった。

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映画:NYメトロポリタンオペラ「皇帝テイードの慈悲」

平成25年1月5日(土)10:00~13:00頃に東劇でMET LIVEVIEWING、W.A.Morzartの「La Clemenza di Tito(皇帝テイートの慈愛)」を観た。
ローマ皇帝レオポルド2世のボヘミア王戴冠式のために作られたとのことだったので、どうせ皇帝讃歌だろうと思っていたが、結末は皇帝万歳ではあったが、物語は「慈悲は悪意に勝る」、「後悔は忠誠に勝る」を導くように進められていた。
また、「慈悲」の王と「邪悪」な先帝の王妃との対比、王への「忠誠」と王妃への「恋慕」の間で悩む部下、市民のためには「自己犠牲」をいとわない王(この部分は政治家に訴えたい)などが美しい音楽で表現されていた(以上は独断と偏見の解釈)。
沢山の素晴らしいアリアがあったが、特にSesto役(ズボン役=男性役の部下役)のE.Garanca(ガランチャ)
が歌った「私は行く、愛しい人よ」(コロラトウーラが凄い)とVitellia役(王妃)のB.Frittol(フリットリ)が歌った「花の美しいかすがいを編もうと」は迫力があり聴き入ってしまった。
E.Garancaは「カルメン」で野生的なジプシー女を演じたが、今回は別人と思われる表情であった。
B.Frittolは2011年6月のMETの来日時に急きょA.Netrebko(ネトレプコ)に代わって「La Boheme(ラ・ボエーム)」のMimi(ミミ)役を上手くこなしたことに感嘆したこと、2012年10月にWIENER STAATSOPER(ウイーン国立歌劇場)が来日した時に「Le nozze di Figaro(フィガロの結婚)」のCotessa d'Almaviva(伯爵夫人)をやった時の素晴らしい歌声に聞きほれたことを思い出した。
なお、もう一人ズボン役のAnnioを演じたK.Lindsey(リンジー)がハンサムな青年役で良かった。
歌も良かったので、今後、注目していきたい歌手であった。
なお、このオペラの題名を知らなかったが、すっかり魅了されてしまった。

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