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2015年1月

映画:NYメトロポリタンオペラ「セヴイリヤの理髪師」

昨日(2015.1.30)、新宿ピカデリーでMET LIVE VIEWING ロッシーニ作曲 喜歌劇「セヴイリヤの理髪師」を観た。
ロッシーニの「セヴイリヤの理髪師」は約200年前に作曲されたもの。

当時、ジョヴアンニ・パイジェッロという作曲家の同名オペラが人気を博していたので、ロッシーニはジョヴアンニ・パイジェッロに遠慮して登場人物名「アルマヴイーヴア」とか「無用な用心」というタイトルを付けていたそうだ。
またこの喜歌劇の主人公はフイガロでロッシーニが作曲する約30年前にモーツアルトが「フイガロの結婚」でフイガロの人生の後半部のオペラを作っている。
それに対して、ロッシーニの「セヴイリヤの理髪師」はフイガロの人生の前半部の位置づけになるそうだ。
ロッシーニの「セヴイリヤの理髪師」は2006年から2007年のシーズンにMET で上演されたものを2010年(平成22年)7月19日に LIVE VIEWINGで再放映したので観ていた。
この時は指揮マウリッツイオ・ベニーニ、演出バートレット・シャー、フイガロ役ペーター・マッテイ、ロジーナ役ジョイス・デイドナート、アルマヴイーヴア伯爵役フアン・デイエゴ・フローレス、バルトロ役ジョン・デル・カルロ、バジリオ役ジョン・ヘイリーなどだった。
フアン・デイエゴ・フローレスの歌唱に感激したことを私のブログ(2010年7月19日)の「映画:メトロポリタンオペラ『セヴイリヤの理髪師』」に書いている。
今回は指揮ミケーレ・マリオッテイ、演出バートレット・シャー、フイガロ役クリストフアー・モルトマン、ロジーナ役イザベル・レナード、アルマヴイーヴア伯爵役ローレンス・ブラウンリー、バルトロ役マウリツイオ・ムラーロ、バジリオ役パータ・ブルチュラーゼなどだった。
演出が同じバートレット・シャーだったのでオーケストラピットの前に張出のある舞台装置や衣装は同じだった。
今回、改めて曲と歌唱を聴いてみると早口(パッセージ)で歌う曲や音を装飾する歌唱が多く気持ちが高ぶり物語に引き込まれてしまった。ロッシーニの凄いところだと思った。
歌手たちの歌唱や演技は喜劇に相応しく笑いながら聴けて気楽であった。
特にロジーナ役のイザベル・レナードの歌唱とコミカルな演技、ローレンス・ブラウンリーの丁寧な歌唱が印象に残った。
ジョイス・デイドナートやフアン・デイエゴ・フローレスが今やメジャー歌手になっているので、今回の歌手からも飛躍する歌手が出てくるだろう。

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蜷川幸雄「ハムレット」

1h27124 1月24日(土)午後、さいたま芸術劇場で蜷川幸雄演出の「ハムレット」を観た。

同劇場のプロムナードに展示されている蜷川幸雄が演出した過去の「ハムレット」の説明によると1978年に平幹二郎、1988年に渡辺謙、1995年に真田宏之、2001年に市村正親、2003年に藤原竜也、2004年にマイケル・マロニー(英国公演)、2012年に川口覚がタイトルロールを務めている。
今回は藤原竜也がハムレット、満島ひかりがオフイーリア、横田栄司がホレイシオ、鳳蘭がガートルード、平幹二郎がクローデイアスなどのキャストだった。
2012年の「ハムレット」はネクストシアターの若手俳優陣によるもので、川口覚もその一員だった。
この時の舞台装置が奇抜で一階と地下の仕切りが透明な板で仕切られていて、貴族は一階、それ以外は地下で演技を行うようにして階級社会を強調しているように思えた。
今回の演出は海外公演を意識したのかわからないが、日本調が強調されていたように思う。
セットは明治時代末期の貧しい長屋、庭には手で水を汲むポンプ式の井戸、僧侶の声明、歌舞伎調の拍子木、ツツミ、三味線などの音、雛壇への役者の配置、少しではあるがセリフに日本のことわざを挿入などがあったからだ。
印象に残った場面は義父のクローデイアスが罪の意識に自問自答する場面、ハムレットが実母のガートルードに不道徳をなじる場面であった。
どちらも迫力のある場面であった。
演技面では各キャストとも持ち味を表現していたが、特に平幹二郎の声の質を変えた声色、声量、セリフの明瞭性など舞台俳優の必要条件を満たしている演技に感銘した。

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市川真間大門通りの万葉歌パネル

手児奈(てこな)霊堂や真間山弘法(くぼう)寺へ向かう道の家の塀に万葉歌のパネルが掲示されている。この近辺は昔「真間の入江」になっていて「真間の継橋」があり万葉歌に詠われていること、高橋虫麻呂や山部赤人が手児奈霊堂を訪れ長歌と短歌を詠んでいることなどから、万葉歌に縁が深いということで万葉歌のパネルを掲示したのではないかと思う。

私が気が付いた万葉歌パネルは23パネルで25和歌がかざられていた。
葛飾の真間に関わる歌とそうでない歌とが混在していた。
1.葛飾の真間に関わる歌をセレクトした。
Photo_3
写真のような万葉和歌に出てくる「真間の継橋」があった。
真間は入江だったようで、そこに架かる橋でここにある橋は小さいので、ミニチュアなのか、このような橋が沢山架かっていたのかはわからない。 
万葉集には「足(あ)の音せず 行かむ駒もか 葛飾の 真間の継橋や まず通わむ」(巻14-3387)とある。
143387 この橋の側に文字が読みにくい歌碑がある。読める言葉は「阿」(足の「あ」かな)、「行かむ」、「葛飾乃」、「真間の継橋や まずかよ・・・・」とあるので、上の万葉歌の歌碑で間違いなさそうだ。     
10143394338433853387 パネルでは巻14の東歌から4和歌が万葉かなで書いてあるパネルがある。
以下に現代語を載せるがこれを見ると万葉かなも読める。
①葛飾の 真間の浦廻を 漕ぐ船の 船人騒ぐ 波立つらしも(巻14-3349)
②葛飾の 真間の手児奈を まことかも われに寄すとふ 真間の手児奈を(巻14-3384)
③葛飾の 真間の手児奈が ありしばか 真間の磯辺に 波もとどろに(巻14-3385)
④足の音せず 行かむ駒もが 葛飾の 真間の継橋や まず通はむ(巻14-3387)
163432_4 山部赤人が手児奈霊堂を訪れた時に詠った歌。
われも見つ 人にも告げむ 葛飾の 真間の手児奈が 奥つ城処(巻3-432)
手児奈を思い人に伝えようと心に強く思った雰囲気が伝わってくる。
203433山部赤人が「真間の入江」を訪れた時の歌。
葛飾の 真間の入江に うちなびく 玉藻刈りけむ 手児奈し 思ほゆ(巻3-433)
海の中の藻が揺れ動くさまを見て入水した手児奈の髪がなびいているように感じたのだろう。山部赤人の感性が素晴らしい。
2191808高橋虫麻呂が「真間の井」(国府台駅近くの亀井院に歌碑があるようだ)を訪れた時に詠ったもの。
勝鹿の 真間の井を見れば 立ち平し 水汲ましけむ 手児奈し思ほゆ(巻9-1808)
2.市川真間に関係ない万葉歌パネル
24488額田王の歌。
君待つと わが恋ひをれば わが屋戸の すだれ動かし 秋の風吹く(巻4-488)
恋人をまだかまだかと待っていて耳をそばだてている様子が歌われている。繊細な神経を持った女性を感性豊かに描いている。
45803山上憶良の歌。
銀も 金も玉も 何せむに 勝れる宝 子に及かめやも(巻5-803)
どんな財宝よりも子供に敵うものはないと詠った山上憶良。
確かに正論だ。今で言う「社会派歌人」と言ったところか。
781424 山部赤人の歌。
春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ 野をなつかしみ 一夜寝にける(巻8-1424)
すみれ畑の中で心が静まりつい寝てしまい一夜を過ぎしてしまった様子。自然と人とのかかわりを上手に詠っている。
11102119 詠み人不詳。
恋しくは 形見にせよと わが背子が 植ゑし秋萩 花咲きにけり(巻10-2119)
会えない恋人を思い、咲いた萩の花を見て心を和ますなんと悲しくもあり可憐な歌なのだろう。
12164 志貴皇子の歌。
葦辺行く 鴨の羽がひに 霜降りて 寒き夕へは 大和し思ほゆ(巻1-64)
早く都へ帰りたいという気持ちを鴨への観察によって表わした歌で志貴の皇子の感性のすばらしさを感じる。
これらのパネルのほかにもすばらしい万葉歌が掲げられているが、紙面の都合で割愛した。
万葉集に興味のある人はぜひ訪れてみて下さい。・ 
 

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市川真間手児奈霊堂訪問

以前から万葉歌碑を訪ねて奈良、鳥取、島根、福岡、大分、さいたま市などを巡っている。前々から市川市にある真間手児奈霊堂を訪ねたいと思っていた。美しいがゆえに多くの男性から求婚され、男性間の争いに悩み、入り江に身を投じた「手児奈」を詠った万葉歌があったからだ。

Photo Photo_2写真は「手児奈霊堂」の歌碑と「本堂」。
高橋虫麻呂は長歌と反歌で次のように詠っている。
長歌:「鶏が鳴く 吾妻の国に 古に ありける事と 今迄に 絶えず言い来る 勝鹿の 真間の手児奈が 麻布に 青衿着け 直に麻を 裳には織り着て 髪だにも 掻きは梳くらず 履をだに 穿かず行けども 錦綾の 中につつめる 斎児を 妹に如かめや 望月の 満れる面わに 花の如 笑み立てれば 夏蟲の 火に入るが如 水門入に 船漕ぐ如く 行きかぐれ 人のいふ時 いくばくも 生けろじものを 何すかと 身をたな知りて 波の音の 騒ぐ湊の 奥津城に 妹が臥やせる 遠き世に ありける事を 昨日しも 見けむが如も 思ほゆるかも」(巻9-1807)。
高橋虫麻呂は手児奈の言い伝えを知っていたようで、手児奈に関し、「貧しい身なりで裸足で髪も梳かしていなくても着飾った子でも及ばない。満月のような顔で花のような笑みをたたえると男どもは群来りて声をかけた。手児奈は自分の運命を知り、波の音が聞こえる墓に眠ることとなった。昔のことだが、昨日のように思える」と詠った。
また国府台駅の亀井院にある「真間の井」を訪れ次の反歌を詠っている。
反歌:「勝鹿の 真間の井を見れば 立ち平し 水汲ましけむ 手児奈し 思ほゆ」(巻9-1808)。
高橋虫麻呂は「真間の井を見ると水を汲みに来た手児奈を思い浮かべる」と心情を詠っている。亀井院にはこの歌の歌碑があるそうなのでいつか行ってみたいと思う。
163432_3 山部赤人も手児奈霊堂を訪れ長歌と反歌を詠っている。
長歌:「古に 在りけむ人の 倭文幡の 帯解きかえて 伏屋立て 妻問しけむ 葛飾の 真間の手児名が 奥つ城を こことは聞けど 真木の葉や 茂りたるらむ 松が根や 遠く久しき 言のみも 名のみもわれは 忘らゆましじ」(巻3-431)。
山部赤人が訪れた時には「手児奈の墓はここにあると聞いたが、真木の葉が茂ったのか、松の根のように時が遠くに過ぎたのだろうか。言い伝えや名前だけでも言い伝えよう」と墓は見つからなかったようだ。
反歌:「われも見つ 人にも告げむ 葛飾の 真間の手児奈が 奥津城處」(巻3-432)。
「手児奈の墓があった場所(上の長歌で墓は見つからないと詠っている)は見たので伝えよう」と詠ったのだろう。
「葛飾の 真間の入江に うちなびく 玉藻刈りけむ 手児名し 思ほゆ」(巻3-433)。
「真間の入江」を訪れ「海中に靡いている玉藻を刈ったであろう手児奈を思い浮かべる」と手児奈を愛おしむ心情を詠んでいる。
手児奈霊堂では万葉歌碑は見つからなかったが真間弘法(ぐほう)寺に向かう大門通りの家の壁には万葉歌のパネルが掲示されていた。
これに関しては別記事で投稿する。 

続きを読む "市川真間手児奈霊堂訪問"

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第58回NHKニューイヤーオペラコンサート

1月3日の19:00~21:00に放送された「第58回NHKニューイヤーオペラコンサート」の録画を観た。毎年、録画をしてゆっくり観るのが習わしになっている。

今年のテーマは「恋する喜び恋する哀しみ」で有名オペラの名場面の歌を22人のソリストが歌った。演奏は東京フイルハーモニー交響楽団、指揮は広上淳一、司会は高橋美鈴アナ、俳優の石丸幹二であった。
舞台、衣装、合唱、舞踊、演奏、歌唱が一体となったコンサートでオペラ好きの自分にとっては至福の時だった。
オープニングはムソルグスキーの歌劇「ポリス・ゴドノフ」から「ポリス皇帝に栄光あれ」を出演者全員で歌った。金色に輝く舞台と大合唱とで豪華な幕開けだった。
以下に歌唱順にリストアップしておく。
1.プッチーニ作「トウーランドット」でカラフが歌う「誰も寝てはならぬ」を西村 悟。
2.レハール作「ジュデイツタ」からジュデイツタが歌う「熱き口づけ」を中嶋彰子。
3.プッチーニ作「ラ・ボエーム」からロドルフオが歌う「冷たい手を」を望月哲也、ミミが歌う「私の名はミミ」を砂川涼子。
4.グノー作「フアウスト」からメフイストフエレスが歌う「金の子牛の歌」を妻屋秀和、三重唱「逃げろ逃げろ」をメフイストフエレスの妻屋秀和、フアウストの山本耕平、マルガレーテの小川里美。
5.ヘンデル作「リナルド」から前奏曲演奏、リナルドが歌う「風よ、旋風よ」を藤木大地、アルミレーナが歌う「涙の流れるままに」を白木あい、アルミーダが歌う「私は戦いを挑み」を山下牧子。
6.レオン・カヴアルロ作「道化師」から「鐘の合唱」を合唱団、カニオが歌う「衣装をつけろ」を村上敏明。
7.マスカーニ作「カヴアレリア・ルステイカーナ」から乾杯の歌「酒をたたえて」をトウリツドウの与儀 功、ローラの鳥木弥生。
8.バ-バー作「ヴアネッサ」からエリカが歌う「冬はすぐそこまで」を林 美智子。
9.ストラヴインスキー作「道楽者のなりゆき」からアンが歌う「夜よひそかに」を田村麻子。
10.ヴエルデイ作「リゴレット」からマントヴア公爵が歌う「風の中の羽のように」を福井 敬、
ジルダが歌う「慕わしい人の名は」を幸田浩子、四重唱「美しい乙女よ」をマントヴア公爵の福井 敬、マツダレーナの鳥木弥生、ジルダの幸田浩子、リゴレットの上江隼人。
11.ベルリーニ作「清教徒」からリッカルドが歌う「命をかけて」を堀内康雄。
12.マイヤーベーア作「デイノラ」からデイノラが歌う「影の歌」を森 麻季。
13.ドニゼッテイ作「愛の妙薬」からネモリーノが歌う「人知れぬ涙」を錦織 健。
14.チャイコフスキー作「ジャンヌ・ダルク」からジャンヌが歌う「森よ、さようなら」を藤村実穂子。
エンデイングは正月に相応しいヴエルデイ作「椿姫」から乾杯の歌「友よ、さあ飲みあかそう」
を出演者全員がワイングラスを持って歌った(昨年も同じ)。
出演者の皆さんは解放感からか楽しそうに歌っていた。これからが正月になるのだろう。
ソリストの皆さんの素晴らしい歌声に時間が経つのを忘れていた。
あっと言う間の2時間だった。

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さいたま市岩槻区にある万葉歌碑

6年前にさいたま市岩槻区の個人宅にある万葉歌碑を見に行ったが整地されていて残念ながら見つけられなかった。今年の1月2日に土地を整地したという方から「現在歌碑は屋敷跡の近くに祭ってあります。機会がありましたらお訪ねください」という投稿があった。今日、行ってみた。場所はサッカー場の近くで区画整理中のため付近には家がなく、正月でもあるので尋ねる人もいなかった。ちょっと離れた家の門のところに女の人が居たので万葉歌碑を探していると言ったら、隣の家の敷地にあると教えてくれた。全く偶然でラッキーだった。歌碑は以前にあった場所から移したとのこと。

家の人に許可をもらって写真を撮ってきた。
1h2714_2 小さな鳥居の向こう側に二つの石碑があった。
右側が万葉集巻9-1744の虫麻呂の和歌だった。


5h2714_2 万葉かなで「前玉之 小埼乃沼爾 鴨曽翼霧 己尾爾 零置流霜乎 掃等爾有斯」と書いてあった。
読み方は「埼玉の 小埼の沼に 鴨そ翼霧る 己が尾に 降り置ける霜を 払ふとにあらし」で意訳は「埼玉の小埼という沼で鴨が羽根を振っている。尾についた霜を払い落とそうとしている」。
「小埼沼」は諸説あるが行田市付近というのが通説らしい。従って、この付近が虫麻呂が詠った場所ではないようだ。


H2714写真の左の石碑は温故碑で年月が経っているので読みにくいが万葉歌碑を建てた由来が記されているようだ。
今回、古い記事を関係のある方が見てくれたことに驚くとともに何かの縁と思い訊ねてみた。
また、偶然にも隣の女性に会い、歌碑のある場所を見つけることが出来た。
投稿をしていただいた「屋敷を整地した」方、ありがとうございました。

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